高松高等裁判所 昭和29年(う)678号 判決
原判決挙示の証拠により、昭和二十九年五月初旬被告人が松山市唐人町三丁目二〇番地の被告人居宅で西岡一雄から同市若宮町一四〇番地質商中山亘方で同月五日盗難にかゝつた腕時計懐中時計総数三十二個の売却方依頼を受け、それらが盗品であることを知りながら預り、これらの売却方を同市南拓川町五組の一色安吉に依頼し、同人をして同人方で五回にわたりその中七個を同月十日頃から十二日頃までの間に他人に計六千七百円で売却させた、原判示賍物牙保の事実を十分認めることができる。
盗品の所有権はその盗難の時より二年間その被害者たる所有権者に存続するのであつて、その間平穏公然善意無過失にその占有を始めた者であつても民法第百九十二条によつてその所有権を取得することなく、その盗品が同第百九十二条の要件を具備する者の手を経た場合においても、その賍物性を失うものではないのであつて、その間その盗品であることを知つて収受、運搬、寄蔵、故買、牙保を為す時は刑法第二百五十六条の賍物罪が成立する。原判決が本件時計の賍物性を認めたのは当然である。
(裁判長判事 坂本徹章 判事 塩田宇三郎 判事 渡辺進)